多言語ウェブサイトについて話しましょう

ウェブサイトを構築し維持するには、相当な手間が掛かります。多言語化する際は尚更です。機械翻訳が過去数十年の間に大きく進歩してきた一方、企業や個人の人はウェブサイトを外国語へ翻訳する時には、機械翻訳に頼ることは避けた方が良いでしょう。そこで、翻訳家の出番となるわけです。この記事では、ウェブサイト翻訳の側面についてご説明し、各ウェブサイトが伝えたいイメージに沿った高品質な作業を提供するための助言を幾つかご紹介したいと思います。

ウェブサイト翻訳の側面

ウェブサイトには、とある奮起させる芸術家のショーケースウェブサイトであったり、名門大学やお気に入りのレストランなどの公式サイトであったり、幅広いタイプがあります。各国が相互に依存しているこの世界では、企業や組織は自社ウェブサイトを通じたリーチを拡大し、すなわちコンテンツを多言語化・現地語化することが求められています。翻訳家にとっては喜ばしいことではないでしょうか!

先ずは、ターゲット言語について注目してみましょう。多言語化する際には、どの外国語へ翻訳するかということは、各ウェブサイトの存在意義に大きく左右されます。例としては、インドの消費者といったターゲット市場を狙う企業は、自社ウェブサイトの翻訳ニーズをヒンディー語やベンガル語、つまり2、3ヶ国語に絞ることができます。そのような明確なターゲット層を狙うのではなく、逆にできるだけ大勢の人にアプローチしたいと考えている企業や組織は、話者人口の多い言語について調べ、自社のニーズに合わせて選定すると良いでしょう。英語が先に頭に浮かぶのは当然のことですが、中国語(標準語)やスペイン語、アラビア語など、他にも様々な言語が流行となっています。

複数の国で話されている同じ言語について言えば、国により違いがあるというポイントがあります。同じ英語でもイギリス英語やアメリカ英語、オーストラリア英語などに綴りや発音、語彙の点で違いがあるのと同様、メキシコやコスタリカ、コロンビアなど、中南米の各国で話されているスペイン語にもそのような違いがあります。そしてそれは、他の多くの言語にも当てはまります。ベルギーのフランス語やカナダのフランス語、ブラジルのポルトガル語など、数え上げればきりがありません。一つの言語には多くの地域性があり、種々な翻訳過程があるというのは、とても素晴らしいことだと思われませんか。しかし、翻訳家としては、高品質な作業を提供するためには、ソース言語からターゲット言語へ翻訳することだけでは不十分です。

現地語化というのは、翻訳そのものと同じくらい、いやそれ以上重要な過程なのです。現地語化の例としては、日付や電話番号、住所に適切なフォーマットを使用したり、現地の単位や通貨に変換したり、また文化的な側面に合わせてコンテンツを変更したりすることが挙げられます。後者は不可欠です。なぜかというと、多くの企業は、ターゲットとなる国の文化的な違いを考慮していなかったため、自社の製品やサービスをその国へ適正に輸出できなかったからです。従って、翻訳家というのは、ウェブサイトのコンテンツを海外向けに適切かつ効果的に現地語化するのに、極めて大切な役割を担っています。

最後になりましたが、高品質な作業を提供するためには、ウェブサイトのイメージや理念に沿うことが肝要となります。しかし、時には現地語化のニーズと衝突することもあります。上記に述べられたことを達成するのには、ソース言語とターゲット言語及び両者に関する文化についての豊富な知識に加え、創造性を発揮する必要があります。なんと刺激的なチャレンジではありませんか!

翻訳家への助言

さて、これまでに解説してきたことを踏まえ、ここからは実践編です。冒頭から末尾まで明確に構造されている文書とは異なり、何数ものウェブページで構成されたり、山ほど情報が表示されたりしているようなウェブサイトを翻訳する際、最初は圧倒されることもあるかもしれません。しかし、心配はいりません。ウェブサイトを運営する企業の目的や手段によっては、そのような大型プロジェクトを翻訳者のチームで遂行することもあれば、またプロジェクト主催者に「ホームページ」や「会社案内」などの部分的な翻訳を依頼されることもありますから。

翻訳プロジェクトが確定されたら、どこから手をつければいいのか、と思うこともあるでしょう。特にウェブサイト翻訳の経験が浅い方は、翻訳作業に入る前に、先ずは似たようなタイプのプロフェッショナル・ウェブサイトで、利用された主な言語(母国語)がターゲット言語であるものを探し参照にすると良いでしょう。ウェブページを一枚ずつスクロールし、トーンやビジュアル面に慣れていきましょう。もちろん、それぞれのウェブサイトには特徴があるので、1、2つだけに絞らない方が良いです。より多くのウェブサイトを読み込むことで、より明確な理解が得られ、翻訳作業がよりスムーズに進むでしょう。

一つ例を挙げれば、某ベーカリー&ペストリー・ショップがフランス人の居住者・観光客の間で人気を博し、店主が自社ウェブサイトのフランス語版を提供したいと考えていたとします。先ずは、フランスにある有名なお店の公式サイトを色々探し参照にすると良いでしょう。翻訳家としては、ターゲット言語が母国語であろうと、またターゲット言語を習得していようと、一つのテーマから専門用語や、新しい造語・表現、キャッチフレーズなど、学ぶべきことは必ずあるでしょう。

「ウェブサイト翻訳の側面」でも述べられましたが、ターゲット言語に関する地域的かつ文化的な違いには考慮すべきだと覚えておきましょう。ウェブサイトの伝えたいメッセージは、ターゲット層が利用されているトーンや語彙に慣れていないと、完全に的外れなものになってしまうこともあります。とは言え、現地語化されたコンテンツが本来のメッセージから離れすぎてしまうと、企業の理念が失われてしまうというリスクもあります。このように、プロジェクト主催者とターゲット層の両方のニーズと期待に応えきれるバランスを生み出すと良いでしょう。

ウェブサイト翻訳をする際には、利用可能なスペースに考慮するポイントもあります。言語の中では、多かれ少なかれ簡潔に表現できるものがあります。中国語では1行で済む文章でも、フランス語では3行になってしまうこともあります。ソース言語とターゲット言語に応じては、ターゲット言語のコンテンツがスペースに収まるように、部分的に再構成したり、余分な表現を避けたりする場合があります。又は逆に、ソース言語のコンテンツと同じ長さに、つまりスペースを埋めるために言い回しを工夫する場合もあります。もし、ウェブページのスペースやレイアウトが問題になるようであれば、プロジェクト開催者と相談し解決策を見出すと良いでしょう。それから、左横書き言語をアラビア語などといった右横書き言語へ翻訳する際(逆もまた然り)には、ウェブページのレイアウトを全面的に変更する必要となります。その場合には、必須スキルを持った翻訳家が実行することもあれば、また任命されたウェブデザイナーと協力し作業を進めることもあります。

一言でいうと

ウェブサイト翻訳というのは、コンテンツのタイプも幅広く、言語ペアも様々があるため、プロフェッショナルの域で成長の余地が沢山あります。翻訳家の何方にも相応しい作業というわけではないかもしれませんが、それはどのような翻訳の分野にも当てはまることでしょう。ウェブサイトの担当者様と長期的な関係を築き、活動の更なる発展に積極的に活躍する機会になるかもしれません。あるいは、一時的で多くの翻訳プロジェクトに携わり、自分の知識と共にネットワークを広げていく機会になるかもしれません。いずれにしても、貴重な経験を得ることができます。では、ウェブサイト翻訳に挑戦してみませんか。

メリス・リーマン


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