みなさんは、もちろん、AI 翻訳について知っているでしょう。もしかしたら、よく使っているかもしれませんね。
最近、機械学習や深層学習によってAI翻訳が目覚ましい進歩を遂げていて、従来より人間らしい翻訳を生成できます。そのため、「AI 翻訳がもっと進化したら、翻訳家も必要がないだろう」というようなことを考えたことがありますか?
おそらく、このような意見を持つ人が多いでしょうが、その考えは本当でしょうか?AI が翻訳家の代わりになれるのか確認しましょう!
現在までのAI 翻訳の推移
AI 翻訳の起源を知っていますか?
AI 翻訳の歴史は1950年代に始まりました。1949年代、ロックフェラー財団のウォーレン・ウィーバー氏が、自動解読と自然言語処理を組み合わせ始めました。数年後、1954年代、ジョージタウン-IBMが、ロシア語から英語へ250言葉を翻訳できる機械を発表しました。
また、1970年代、カナダが「METEO」というシステムを開発しました。このシステムで、英語からフランス語へ天気予報を訳していました。毎日同じようなものだったから、問題がありませんでした。
それと、2000年代には、インターネットによって大変革が始まります。今まで、AI翻訳はメモリで行われていましたが、日本では、ニューラルネットワークをモデル化したコンピュータ・システムが開発されたおかげで、英語、日本語、中国後に対応した携帯電話向け音声合成翻訳が考案されました。
そして、2016年代、ニューラルネットワークのおかげで、グーグル翻訳が向上したため、「グーグル神経機械翻訳」と呼ばれたシステムが発表されました。
(Yuqo 2017)
AI翻訳には4つのタイプがあります:
- ルールベース機械翻訳(Rule-based machine translation, RBMT):文法規則に基づいて文章を翻訳します。
- 統計的機械翻訳(Statistical machine translation, SMT):統計を使って、単語や文がどのように表現されるべきかを予測します。
- ハイブリッド機械翻訳 (Hybrid machine translation, HMT):RBMTとSMT翻訳の質を高めるために、いくつかの方法を用いています。
- 神経機械翻訳 (Neural machine translation, NMT) : 人間の脳の神経ネットワークを模倣していて、常に改良を続けています。NMTはAI翻訳の最も進んだ形態です。
(Strakertranslation 2023)
AI 翻訳の限界
AI翻訳が目覚ましい進歩を遂げていることは言うまでもありませんが、まだとんでもない誤訳があります。
- 文章のあいまいさをちゃんと伝えない
- 文化的背景が考慮されていない
- 文法ミスの危険性がある
- テキスト・文章を直訳する
- 具体的な用語を知らない可能性がある
- 慣れない言語をうまく翻訳できない
- 守秘義務を守れない
(AFTCom 2023)
例えば、このような面白い間違いがあります。
- アメリカン航空はメキシコでレザーシートを宣伝するため、AI翻訳を使って「Fly in leather」というスローガンをスペイン語で翻訳しました。「Vuela en cuero」になりました。「Fly in leather」の意味は、日本語で、「レザーで飛ぶ」の意味があるけど、スペイン語を話す国は一つではありません。因って、一部のスペイン語圏には、そのスローガンが「レザーで飛ぶ」の代わりに「裸で飛ぶ」の意味がありました。
ちょっと、おかしいですよね。
一方、より深刻な誤訳の可能性もあります。
- 2021年代、スペイン産業省がAI翻訳を使って「Dolores del Campo」という職員を紹介しようとしましたが、AI翻訳が職員名前だったことがわからなかったから、名前も翻訳しまいました。「Dolores del Campo」の代わりに、フランス語で「Douleur de terrain」、英語で「Pain of field」になりました。この2つの訳は、日本語で「地面の痛み」という意味があります。
人の名前だから、大変そうですね。
(Dujardin 2023)
翻訳家の未来
このような欠点があるにもかかわらず、AI翻訳には、高速で無料であることなどの利点があります。そのため、翻訳家の代わりにAI翻訳を使用する企業の割合が増加するかもしれません。だが、状況によっては、AI翻訳だけで翻訳するのは危険すぎます。例えば、医療分野では、誤訳が患者の死につながる可能性があります。このような場合、翻訳者は後編集(post-edit)しなければなりません。つまり、AI翻訳は技術的な文章や長文を翻訳するのに非常に便利であるとしても、テキストが正しいことを保証するには、常に人間の介入が必要になるということです。
同様に、AIはユーモアや文化的なニュアンスを理解できないので、広告やマーケティングの分野ではほとんど使えません。これらの分野では、テキストをターゲット言語に翻訳するために、依然として翻訳者が必要とされます。
(Guay 2023)
まとめ
この記事を書く前、私は「AI 翻訳がもっと進化しても、翻訳家は常に必要である」という意見を持っていました。書き終わった後でもそれは変わりません。翻訳という職業が変化し、AI翻訳が翻訳者の生産性を向上させる貴重なツールになることは間違いありませんが、AI翻訳が人間の翻訳に完全に取って代わることはありません。なぜかというと、言語のあいまいさを翻訳し、文化的なニュアンスを理解し、テキストを読者に合わせるためには、常に人間が必要だと思うからです。
ロペス・シンディー (Cindy LOPES) ²
参考資料
AFTCom. 2023. « Quelles sont les limites de la traduction automatique ? » AFTCom – Agence de Traduction et d’Interprétariat. https://www.aftcom.com/traduction-automatique-quelles-sont-les-limites/
Dujardin, Amandine. 2023. « Traduction automatique : 10 exemples d’erreurs.» TextMaster – Le blog du développement international. Online. 2 October 2023. https://fr.textmaster.com/blog/erreurs-traduction-automatique-exemples/
Guay, Loren Maria. 2023. « La traduction automatique et ses risques (deuxième partie) ». Trusted Translations, Inc. https://www.trustedtranslations.com/fr/blog/la-traduction-automatique-et-ses-risques-deuxieme-partie
Strakertranslations. 2023. “The History of Machine Translation: Past, Present, and Future.” Strakertranslations. https://www.strakertranslations.com/insights/the-history-of-machine-translation
Yuqo, Hello. 2017. « La naissance et l’histoire de la traduction automatique. » Yuqo. https://www.yuqo.fr/la-naissance-et-lhistoire-de-la-traduction-automatique/